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音楽のそばに、寄り添うように

東京都 Kさんご夫妻

1.イルンゴとの出会い

アンプ・CDと坂道を転げ落ちるように貯金の残高も減っていったあるとき、雑誌 でふと見つけたイルンゴの文字。 住まいの三鷹にほど近い吉祥寺にあると知り、どこで買えますかと問い合わせたところ、 我が家でデモをしてくださるとのこと。 恐れ気も無くお呼びして、来ていただいたのがイルンゴとの出会いでした。

セッティングに関する楠本さんのノウハウと、どこか直すごとに変化していく我が 家の音に、ただ驚くばかり。 試着や試食はやった者負け、と常々思っていますが、試聴してそれを痛感しました。
(そのときは、grandezza 1枚でしたが...)

そうこうするうちに貯金も底を尽きかけ、瀕死の財政に止めを刺す刺客が現れまし た。 そのイタリア生まれの彼女(人間ならきっと、女性に間違いありません)は、その 容姿の美しさでまず私たちを魅了しました。

登場してから10年余を 経てなお、古さを感じさせないその佇まいは、どんなこ とをしても手に入れたいと思わせる、抗いがたい魅力を発していました。

ある日、またもや行きつけのオーディオショップのKさんに無理をお願いし、VIOLAのアンプで彼女をドライブ したときの音を聴き、予感 は確信に変わりました。
「このスピーカーこそ、 私たちにとって、唯一無二のものだ」と。

そして無理矢理彼女を我が家に迎え入れて、現在の編成となったのが一昨年の秋で した。(期せずして、米・英・伊の混成部隊となりました)

そのころには楠本さんによる指導(?)によりラックは撤去され、アンプ・CDは 床上のgrandezza とsonoriteの上に設置されるようになりました。電源も、夏季以外 は使わないエアコン用のコンセントからアンプ・CDまでの電源を引くように配線す る工事の手配をしていただいたりしました。 (むろん賃貸なので、原状回復できる程度の工事ですが)

そしてケーブル類はいつしかイルンゴに統一され、今では立派な「イルンゴ被害者 友の会」(そんなものありませんが)の会員となってしまったのです。

2.イルンゴの音、私たちの音

いつも楠本さんは、我が家に来てオーディオチェックをするときに、決まって 『YEAR』のディスクを掛けます。
それは、私たちとすれば結構大きな音量なので、鉄筋とはいえ賃貸の安普請に住まう小心者としては、実は内心汗をかいています...。

ただ、正しい方向に音が向かっているとき、たとえ音量が大きかろうと、決してう るさい音、きつい、苦しげな音にはならないことは、何回かの調整で良く判りまし た。そればかりか、ある程度の音の大きさがないと、楽しく聴けない音楽も増えてし まいました。楠本さんに調整していただくと、音楽の中に漂っているような、包まれ ているような感じで聴けるのです。

楠本さんから学んだ(と勝手に思っている)ことは、こんなことではないかと思い ます。
<ストレスのない、気持ちよく響く音のために>
(1)真にシンメトリーにセッティングすること
(2)硬いものには、柔らかいもの
(3)機器の編成はシンプルに
(4)磁性体は、ないほうがいい

(番外)イルンゴのケーブルは、硬くて大変
楠本さんは「こんな小さい音で聴いてるの?」と不思議そうですが、現在の住環境 の制約上、聴く音楽、時間帯、音量は必ずしも思うようにはできないのが現状です。

そんな中で「音楽に包み込まれるような」拡がりを常に感じることは難しいのです が、静かな夜に聴く、
ジョアン・ジルベルト「Chega De Saudade」や
マイルス の 「Blue in Green」、
ノラ・ジョーンズの「The Nearness of You」
に寄 り添うように 耳を傾けるとき、自分の心が音楽に引き寄せられていくのを心地よく感じます。

もちろん、音量の制約のない状態で、私たちの機器が思う存分その能力を発揮したとき に、素晴らしい音楽を聴かせてくれだろうという期待はあるのですが。

人にはそれぞれ、こう鳴って欲しいと思う音があり、それは 十人十色だと思い ま す。その音は、時として生の演奏による直接的な手段によって、あるいは(すぐれ た)オーディオという媒体によって再生されることで人々の頭の中に刻み込まれるの ではないでしょうか。

オーディオに関心を持つようになってから、私たちはコンサートに行く機会が増え ました。そこで普段はオーディオを介して聴いている彼らの演奏を生で聴き、その素 晴らしさに感動すると同時に、オーディオで再生している音楽も、方向性という意味 では決して乖離してはいないということを再認識します。

ジョアン・ジルベルト、ノラ・ジョーンズ、そしてマウリツィオ・ポリーニ。彼ら の音楽に触れ、時間を共有できたこと。そして、オーディオの魔法で、彼らを呼び戻 すことが今はまだ、完全には出来なくても、そこに近づけると予感できるのです。

(そういう意味でも)たぶん、楠本さんの理想とする音と私たちが志向する音は、 完全には一致しないかも知れません。
ですが、基本的な方向性で大いに共鳴するところがあるから、今までお世話になって来ているのだと思います。

まだまだこれからも、私たちの理想を求める旅は続きます。 きっと、その時々で楠本さんにアドバイスをいただくことになると思いますので、これからもよろしくお願いいたします。

<妻から一言>
「アンプって何?」「ミニコンポとどう違うの?」などと言っていた 私がすっかり巻き込まれてしまいました。でも、実際に調整していただきながら、音 が変わっていくのを聴いていると、あまりの変わりように愕然とし、鳥肌がたつよう な思いがしたものです。最終目標はボリュームを気にせずに聴けるようになることで すが、いつになることやら。。。。。
これからも末永くおつきあいをお願いいたしま す。

<Our Favorite Discs>
Joao Gilberto: 声とギター
k.d.lang: Hymns Of The 49th
Parallel
Keane: Hope And Fears
Maurizio Pollini: ショパン『練習曲集』『バラード集』
Miles Davis : Kind Of Blue
Norah Jones: Come Away With Me , Feel Like Home
Simply Red: Home
Victoria Mullova: バッハ『パルティータ集』